純日本型産業をつくり、地方創生の核となる
1.観光競争力世界4位、日本
30年連続で観光客数世界一のフランスでは、現在年間8,000万人を超える外国人観光客(インバウンド)が訪れております。
日本は現在年間3000万人規模となっており、2017年には観光競争力のランキングで世界4位になっています。(世界経済フォーラムの観光競争力ランキング)これは驚くべきことです。
訪日外国人の状況として無視できないのが2011年の東日本大震災であり、その際に年間622万人まで落ち込みました。
しかし、その後の復興努力により、震災からわずか7年後には3,119万人(2018年)と、短期間で大幅な増加となりました。この実績により、日本の観光競争力への国際的な評価は確実に高まっております。
さらに東京オリンピック・パラリンピックを間近に控え、近い将来、訪日外国人客は年間8,000万人、さらには1億人という規模になることも十分に考えられます。
また、私達の日本は今後超高齢化社会となっていくため、フランスのような「観光立国」を目指さないと確実に国は衰退の一途を辿っていきます。
2.地方におけるインバウンド対策の遅れ
観光庁によると、2017年の外国人の延べ宿泊者数の16年比伸び率は、三大都市圏の12%に対してそれ以外の地方部は19%と大きくなっており、全体に占めるシェアも地方部がはじめて4割を超えております。外国人リピーターが増えるにつれ、東京や京都などのありきたりな観光地ではなく、地方における新たな体験を求める動きが増えております。
しかしながら、日本のインバウンド対策は、東京などの大都市ならまだしも、地方観光地においてはけして満足とは言えません。フランスは自動車で回ればミシュラン店舗でおいしいものがどこでも食べられますが、日本はそういったお店は東京に集中しすぎております。地方には優秀な食材はあっても、技術やサービスとして洗練されているところは多くありません。
外国人観光客が各地域の文化財や自然を見に行こうにも、地方にはインバウンド対応ができている宿泊施設も全く足りておらず、交通網や標識の整備など官民連携した組織的な対策も後手後手になっている状況です。
この日本のインバウンド需要に外資企業が目をつけ、地方に一気にホテルを作っていく動きも見られておりますが、私どもは外資企業に先んじて地方インバウンド需要の受け皿をつくってゆかねばなりません。
WBCは、農業を核とした新しい地域経済活性化事業モデルを作り上げ、各地に日本企業の運営するホテルやインバウンド施設を整備することで、増え続ける外国人観光客の消費を外資に逃がすことなく、国内にて循環させていきます。
3.「旅行」ではなく「旅」をする
外国人が日本を訪れるにあたり、本項では「旅」と「旅行」とを別個に定義させていただきたいと思います。
「3泊4日で日本に行ってみよう」というのは「旅行」、しかし、私達は外国人観光客に、日本を「旅」してもらう土壌を構築するべきなのです。「旅」とは、例えば30日、60日をかけてじっくりと日本を巡ります。その需要はトラベルウォークジャパンの項でも述べたとおり、確実にあります。ただその受け皿がないだけなのです。
四季に彩られた美しい日本を「旅」してもらおうと考えたとき、例えば東海道に40キロくらいの旅をするツアーを組み、それに合わせて交通インフラや宿泊施設を用意するなどの発想が生まれてきます。四国遍路の八十八ヶ所を巡礼するツアーもいいでしょう。
WBCとアグリビジネスユートピアは、将来8000万人に日本の隅々に旅をしてもらおうと考えています。長い旅には観光以外のキャッチーな目的が必要ですが、一貫させるテーマは「ヘルスケア」です。
「ウェルネストラベル」という言葉をご存知でしょうか。これは、観光と健康をかけ合わせた新しい旅行の形です。近年世界的に健康ブームとなっており、またウェルネストラベルを行なう旅行客は、一般の旅行客に比べ159%も支出額が高くなっているというデータもあります。(健康に関する調査を行っている非営利団体「Global Wellness Institute(GWI)」2015年発表)つまり、旅行客の中に、健康により積極的にお金を使うという新たな価値観が生まれています。この世代をミレニアル世代といい、1980年~2000年初頭までに生まれた方々を中心に広まっています。
旅行客は、旅の中で触れるヘルシーな日本食や座禅、瞑想、温泉などの日本ならではのアクティビティを体験して、心と体の健康を保ちます。また、この街道をこの時間をかけて歩いたら○カロリー消費できるなどをカリキュラム化しわかりやすく提供することで、より豊かな旅を演出し、満足度を高めてもらいます。
4.「アグリビジネスユートピア構想」の到達点
世界一の観光大国として君臨するフランスに学べることは、地方における官民一体となったインバウンド対策です。
例えば、パリでは徹底したインバウンド対策がおこなわれ、各地に駐輪場とともに配備された30分無料のレンタサイクルはいつでも利用可能です。観光客は好きなだけそれを利用でき、どの駐輪場にも返すことができます。地下鉄やバスなどの、観光客にわかりやすいインフラや交通網の整備など、学ぶべき部分は多くあります。
日本も大都市を中心に徐々にインフラは整備されておりますが、少しでも地方に行くと標識や言語の壁など、まだまだ外国人に優しい環境とは言えません。
こうして外需を外に逃さず地方および国内で循環させ、日本の地方創生の核となることこそが、最終的に私達が目指す「アグリビジネスユートピア構想」の到達点といえます。
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